2021年1月に観た映画
今年は映画館で沢山観たいと思ってます。
映画に集中できる環境は、映画館には勝てない。
先週末も「ノマドランド」を観てきました。
その感想はまた追々。
◎1月に観た映画
「ヤクザと家族」@TOHOシネマズ東浦
監督:藤井道人
あらすじ:
ヤクザという生き方を選んだ男の壮大なヒューマンストーリー。
自暴自棄になっていた少年期にヤクザの世界へ足を踏み入れた男を中心に、
暴対法によって変わっていった環境と共に
1999年、2005年、2019年と
3つの時代で見つめていくヤクザという
生き方を選んだ男の壮大なヒューマンストーリー。
感想:
映画を通して、繰り返される言葉がある。
時代は変わる。 時代は変わった。
それとは対照的に舞台となる都市の
モクモクと空に伸びていく工場の煙。
変わらない風景であるのに
描かれるヤクザが法に世間に縛られ、
人としての生き方を閉ざされていく。
主人公の山本は、親もなく1人もの。
世間への反発、怒りが表面にありつつ、
心の中は寂しさを抱えている。
それを救うのがヤクザの組長柴咲。
義理の家族となり、彼らに守られ、
大きな成長を遂げていくが、
時代はヤクザ組織を崩壊させていく。世間も後ろ指を指し、人としての自我も崩していく。
ヤクザ組織を美化したい訳ではなく、
時代の波に乗り切れない者の末路、
そして、画一的に自我を崩す法と世間、
そのために幸せを破壊され、
変わりたいのに変われない者の悲しみ、
世間は変わったが工場の煙は日々変わらない。
そのギャップの描写、後半の展開は胸が締め付けられる。
山本演ずる綾野剛さんの眼差し。
時代と共にギラギラといきり立つものから、
達観した穏やかなものへと変化するところが見どころ。
そして、磯村勇斗君演ずる翼、
時代に呼応し二面性見せる凄みにヤラレる。
エンドロールで流れるmillennium paradeの
familiaが映画の余韻を見事に体現。
前半のイケイケな描写から後半の崩壊する展開、
後半は語り過ぎな部分が惜しいが、
時代の変化と心の揺れを見事に描いた作品。
「新感染半島 ファイナル・ステージ」@TOHOシネマズ赤池
監督:ヨン・サンホ
出演:カン・ドンウォン、イ・ジョンヒン、
クォン・ヘヒョ、キム・ミンジェ
あらすじ:
パンデミックが半島を襲ってから4年後。
香港に逃げ延びていた元軍人のジョンソクは、
ある任務を遂行するために半島に戻ってくる。
任務とは、チームを組み制限時間内に
大金が積まれたトラックを回収して半島を脱出すること。
チームはウィルスにより凶暴化した人間たちから逃れ、
順調にトラックを手に入れるも、
突如としてユニット631と呼ばれる民兵集団に襲われてしまう。
トラックも奪われ、危機一髪となったジュンソクを救ったのはミンジョン母娘。
そして、彼らはともに半島を脱出するために協力することになり・・・。
感想:
前作が面白く期待高い中での鑑賞。
前作とは真逆なアクション作品でした。
ゾンビは完全添え物状態で、
ガンアクション、カーアクション全開。
ホラー感サバイブ感よりも
蹴散らす感痛快感にベクトル向いてます。
なので、ゾンビから生き残る執念が弱いと
思った次第です。
アクション感ではエイリアン2的だし、
カーアクションやならず者集団は、
マッドマックス的になってて、
正直既視感があるのは否めません。
ま、CGで作られたと思しきカーアクション、
スピード感とカット割りの上手さから、
なかなかテンション上げてくれます。
しかし、前作の列車の中の閉塞感が生む
緊迫感は薄く、動き回れる本作は、
やはり、アクション重視と捉えざるを得ません。
それでも脚本というかネタ振りを
ラストまできっちり回収するあたりや
前作よりも生きることを提示するところは、
しっかり落とし前つけてくれたように感じました。
新感染の別モノ、アクション作品、
そう思えば楽しめると思います。
あと、長女役の子が可愛かったな。
あ、お母さん役の人も。
10/3 VUCA meets 小和瀬聡美(vo)THE WIZ
加納奈実(as,ss)、倉井夏樹(harm)、渡辺翔太(pf)
ほぼ同世代がメンバーというVUCA。
同世代バンドは如何せん仲良しグループ過ぎて
音楽としての聴き応え不足になることが多い中、
ユニークな編成から繰り出される音は、
音の彩りと質の高いインタープレイが心地良く、
良きグループに出会えたというのが率直な感想です。
オープナーはブラジルのギタリストDori CaymmiのObssesion。
爽やかな中にある熱い雰囲気を煌びやかに体現。
倉井さんが繰り出すハーモニカの効果が絶大。
翔太君のオリジナルMe And I。
コロナ禍で作り上げたナンバーはシックなテイスト。
音数は少なく、重苦しさから光明を感じさせ、
音的にはECM的なテイストがありました。
Tania MariaのCome With Me、
これは兎に角、楽しくノリ追求な演奏、
奈実さんもソプラノに持ち替えて吹きまくり、
倉井さんもグルーヴィなハーモニカも見事。
翔太君がたまたま弾いたフレーズから
生まれたというオリジナル、It's Show Time。
オーディエンスにハンドクラップを要求し、
奈実さん、倉井さん、翔太君、パッション全開。
聴かせて楽しませる。
緩急自在なセトリに心奪われ、音楽の面白さがあります。
2ndは聡美さんのボーカルが加わり、更に化学反応が。
セトリはカバー中心の中、
Milton Nascimentoのカバー、Pont de Areiaでは、
ECMな雰囲気に聡美さんのボイスを絡め、
チェンジャーを操りボーカルと
倉井さんのハーモニカが幻想的な展開に。
そして、聡美さんの故郷を思って綴ったオリジナルKiryu。
日本語の歌詞とシックな雰囲気、
VUCAの落ち着いた演奏をバックに歌い上げ、
聡美さんのスモーキーなボーカルから、
彼女の心籠もった気持ちはしっかり伝わりました。
EncoreはSmoke Get In Your Eyesでお開き。
ステージから捌ける際も翔太君と倉井さんが
名残惜しげに即興演奏で更に盛り上げる演出も。
VUCA、音が良い。心地良い。
今後は聡美さんも含めた音作りがされるのか、
どんな進化を見せるのか注目していきたいです。
Set List
1st
Obssesion(Dori Caymmi)
Me And I(渡辺翔太)
Come With Me(Tania Maria)
Glitter
It's Show Time
2nd
How Deep Is Your Love(Bee Gees)
Pont de Areia(The Boom)
Joy Spring(Clifford Brown)
Hallelujah
Kiryu(小和瀬聡美)
プラスティック・ラブ(竹内まりあ)
Encore
Smoke Get In Your Eyes
10/2 山田貴子(pf)3@DOXY
清水昭好(b)、勘座光(ds)
昨年、巨大台風接近のため、
聴くことができなかった貴子さんのトリオ。
その際のメンバー、清水君と勘座さんとの
ピアノトリオで収録したアルバム「Remembrance」。
その発売記念ツアーで2年ぶりに聴かせていただきました。
兎に角、耳に馴染んで聴きやすい。
温かみある音の中、熱量と歌心あるアドリブ、
心象風景からインスパイアされた貴子さんのオリジナルに
それをしかと体感することができます。
この日はもちろん、アルバム収録曲中心のセットリスト。
オープナーのA Long Wayはシャープで引き締まった音使いがカッコいい。
Last Snow In Aprilはサブタイトルにもある
平成という時代に思いを馳せ、
3拍子のメロディにゆったりと体を預ける。
雄大な清水君のベースソロも聴きどころ。
Sincerityは誠意という意味の通り、心を込めた雰囲気ある極上のバラード。
貴子さん自身の誕生月をタイトルにしたNovember。
リフが印象的で責めの5拍子、貴子さんも強い鍵盤タッチ、勘座さんのドラムソロの熱量もいい塩梅です。
スタンダードは小気味良いSwing感が良い
But Not For Meをチョイスするところが上手い。
昨年の台風接近と共にツアーした際に
できたというUnexpected Rainは、
前のめりになるドライブ感がサビでは
三位一体の激しい賑々しさが高揚感を生んでいます。
後半2曲はバラード調なナンバー、
Hasu、タイトルチューンRemembrance、
冒頭に書いた通り、温かみあるサウンド、
このメンバーだからこそ聴けたと再認識。
心洗われる雰囲気がそこにはありました。
Encoreはアメリカ民謡の
Shenandoahでゆったりとお開きに。
このご時世でツアーできたこと、
積極的に宣伝できないにもかかわらず、
聴きにみえたオーディエンスへの感謝を忘れず、
感涙されていた貴子さん、
その思いもしっかりと伝わる好ライブでした。
また是非ツアーで聴きたいピアノトリオです。
Set List
※記載以外は全曲山田貴子オリジナル
1st
A Long Way
Last Snow In April 平成の終わりに
Sincerity
November
2nd
But Not For Me(George Gershwin)
Unexpected Rain
Hasu 蓮
Remembrance 記憶
Encore
Shenandoah(アメリカ民謡)