偶然と想像@刈谷日劇
出演:
古川琴音、中島歩、玄理、渋川清彦、森郁月、
甲斐翔真、占部房子、河合青葉
監督:
あらすじ:
親友が「いま気になっている」と話題にした男が、
2年前に別れた元カレだったと気づく「魔法(よりもっと不確か)」。
50代にして芥川賞を受賞した大学教授に
落第させられた男子学生が逆恨みから彼を陥れようと、
女子学生を彼の研究室を訪ねさせる「扉は開けたままで」。
仙台で20年ぶりに再会した2人の女性が、
高校時代の思い出話に花を咲かせながら、
現在の置かれた環境の違いから会話が次第にすれ違っていく「もう一度」。
それぞれ「偶然」と「想像」という
共通のテーマを持ちながら、異なる3編の物語から構成される。
感想:ネタバレ注意
第71回ベルリン国際映画祭にて銀獅子賞(監督賞)を受賞した本作品。
そして、今アメリカではこちらもカンヌ国際映画祭で脚本賞はじめ四冠に輝いた
「ドライブ・マイ・カー」を手掛けた濱口竜介監督作。
今1番、日本映画において重要パーソンであり、
世界で勝負できる映画家でもあると思います。
彼の作品は長尺のイメージが強いんですが、
(「ハッピーアワー」は317分、「ドライブ・マイ・カー」は179分)
サブタイトルにもある通り、今作は約40分の短編を3本にまとめたのが本作。
既に昨年末鑑賞済ですが、2度目の鑑賞。
観たくなる魅力に溢れた作品だから。
兎に角、キャラクター間の会話や仕草、間合い。
それにより、話がどんどん転がっていくのが抜群に面白い。
こんなにも緊張感、スリリングさ、笑い、
大仰な演出や音ではなく、会話とカメラワークで決まっていくのがたまらなく好きだ。
第一話「魔法」は、付き合ってた彼氏が、
仲良しと懇意になりかける過程にあって、
わざわざ元カレなら会いにいく。
その際、会話によって生まれる心の変化の信憑性、リアルさ、
そして、ラストで見せる古川琴音さんの眼差し、
雑踏の中に映る渋谷の空の晴れ晴れとしたカメラワークが見事。
第二話「扉を開けたままで」では、
ハニートラップを仕掛ける女性と大学教授。
教授の小説のとある場面を朗読する際の
仕掛けにハマるのか否かの緊張感、
読み終わってからの弛緩とした雰囲気、
そして、ラストでのゾッとする終幕に驚く。
ハニートラップを仕掛ける森郁月さんの好演が光る。
第三話「もう一度」では、
映画タイトルである偶然と想像がピタリとはまる展開。
久々の偶然の再会も、人間違いだったといおかしさ。
しかしながら、占部房子さん演じるキャラクターのかかえる問題、
河井青葉さん演じる幸せそうな家庭で暮らすも何か物足りなさがありげなところから、
最後お互いが前向きな着地へと繋がる展開が好きです。
仙台駅のエスカレーターでのやり取りが特に。
短編集は何作か作られるそうでどんな作品が生み出されるのか気になるとろです。
それから、劇中の終わりと始まりにかかる
シューマンの子供の情景の調べが何故かとても気持ち良く響いたのも印象的でした。
濱口竜介監督作では、「ハッピーアワー」は未見。
「ドライブ・マイ・カー」はもう1度観てみたい。
私自身も彼の監督作が好きになっているようです。
#偶然と想像